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あしがら彩人記

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松寿司

創業1975年、変わらぬ味と一期一会のおもてなしで地元に根付く

 職人気質の大将と、細やかな気配りの女将、丁寧な仕事ぶりの二代目が切り盛りする、1975年創業の「松寿司」。釣りが趣味という大将の寿司ネタは、関東屈指の規模を誇る川崎の北部市場から毎朝仕入れ、時には自身の釣果に、釣り仲間や船長からの協力も加わり、珍しいネタに出逢えることも。また、自ら育てた野菜や富士山麓で摘んだ山菜なども取り入れ、“その時々の味覚”を存分に堪能できます。
 「職人が目の前で握る寿司店は敷居が高く思われますが、価格を気にせず楽しんでいただけるよう、創業以来、消費税分しか加算していません。たくさんの方から受けたご恩を、これからも“変わらぬ味”でお返しできればと思っています」と女将。人や食材との一期一会を大切に、手間暇かけた料理は作り立てを提供するなど、地道にこだわりを積み重ね、遠方からの常連客も多いというのも納得です。

“お店は生きもの”という言葉を胸に、新たな試みと共に次の世代へ

 学生時代は本格的にゴルフに打ち込んでいたという、二代目の大橋誠さん。今では父の大将とともに寿司を握り、誠さんの玉子焼きや茶椀蒸しは、この店に欠かせない味になっています。そんな姿を見守る女将は、「お客様から“お店は生きもの”と話してくださったことがあります。大将とともに日々ものづくりに精進しながら、二代目ならではの松寿司を育んでもらえたら」と、新たな層にも積極的に門戸を広げます。例えば、2014年に地元商店街の飲食店とともにスタートした「松田ちょい呑みフェスティバル」では、気軽に楽しめるようにと自慢の握り寿司などを低価格で提供し、初めて寿司屋のカウンターに座るという人も。また、ランチタイムには夜と同じ食材や料理を味わえる品数豊富なセットメニューを新たに用意して、リニューアルしたホームページにも掲載。SNSを使った情報発信も積極的に取り入れています。
 そんな折に、新型コロナウイルス感染拡大に見舞われます。「最初の緊急事態宣言が発令された際は、来店されるお客さまが激減。それでも、地元の役場や商工青年会が出前やテイクアウト販売を始めてくれ、また町をあげてご協力していただき、本当に助けられました」と振り返ります。コロナの収束後を見据えて、カウンター前のお座敷をテーブル席にするなど店内のリニューアルを行いましたが、その年の忘年会や新年会の予約が望めず、法事でのご利用や町主催のイベントも相次ぎキャンセルに。来店客をメインとした営業スタイルから、経営方針の変革に本腰を入れることになりました。

その時々の風を見極め、これからも“安く美味しい”ここだけの逸品を

 そこで行ったのが、新たに出前・テイクアウト専用チラシの作成です。「ほかの宅配寿司との差別化のため、“心のこもった旬の味を”と当店の想いを印刷した厚手の封筒も用意して、町内を中心にポスティングしました。また、ご自宅に持ち帰られた後でも美味しく味わえるよう、シャリの水加減を微調整。食洗機の導入で出前にかかる時間の確保と効率化を図り、冷凍冷蔵庫のグレードアップで、より幅広い品目の仕入れも可能になりました」と二代目。
 ポスティングの成果も上々とのことで、「法事などの会食を控え、ご参列者が持ち帰れるお弁当のご相談も多くあり、長引く感染拡大で社会全体の習慣が変化しているように感じます。コロナ収束後は、以前のように宴会も含めた店内飲食中心の経営に戻ることは難しいと思いますが、その時々で最善策を講じながら日本の文化である寿司を安く美味しくご提供し続けたい」と誠さん。逆境に立ち向かう強さは、その時々の風を見極め、戦略を練るゴルフで培った二代目の経験からかもしれません。大将が貫く“変わらぬ味”を守りながらも、二代目の伸びのある“柔軟性”が交わって、これからも心を込めて腕を振るいます。

【策定した事業計画】
出前・テイクアウト強化のための、チラシ作成とポスティング

令和2年度補正 小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>

《令和3年度伴走型小規模事業者支援推進事業》

松寿司

住所:〒258-0003
神奈川県足柄上郡松田町松田惣領1877
電話番号:0465-82-5705
創業:1975年
代表者(大将):大橋昭憲さん
HP:https://matsuda-matsuzushi.com/

営業時間:11:00~14:00、17:00~22:00
ランチタイム:11:30~13:30(L.O.)
定休日:水曜・第3火曜