各地から、人気犬「ビションフリーゼ」ファンが集う!
元〝犬の美容の先生〟の新たなる挑戦。

東名高速道路・大井松田ICのほど近く、国道255号を横に入った場所にある、一見ヨーロッパのカフェのような佇まいの「CACHETTE」。長年都内のトリマー養成専門学校で指導してきた、元〝犬の美容の先生〟朝倉仁志さんが、退職後に大井町の自宅近くではじめた、人気犬種「ビションフリーゼ」のカットを得意とするトリミングサロンです。

ビションフリーゼといえば、白くてフワフワした毛なみが特徴の小型犬ですが、その毛のトリミングには、かなり専門的な技術を要するのだそう。
朝倉さんがこの犬種に着目したきっかけは、上級のトリミング試験を受ける際に犬の種類を絞る必要があったことでしたが、「結構奥が深い犬種なので、そこからはまって」。今では専門のサロンを開くまでに。

ただ、人気犬とはいえ、まだ全国でも専門店の数は少なく、SNSなどで同店の情報を得た飼い主さんたちが都内や埼玉など各地からやってくると言います。
「こちらでお預かりして3〜4時間かけてトリミングするので、その間、飼い主さんたちはちょっと観光に行ってきたり。毎月楽しみに来られてるみたいですね」
その技術力だけでなく、郊外店ならではの〝おでかけ感〟も、飼い主さんたちにとっては魅力となっているようです。
勿論、ビションフリーゼ以外の犬種も対応しています。
大型犬はシャンプー台に入らないので、小型犬が対象にはなるものの、近所の方が愛犬とともに来店することもあるそう。

ただ、近隣への認知度と考えた時にネックとなるのが、むしろそのお洒落な外観でした。
「喫茶店風に見えてしまうみたいで」と笑う朝倉さん。「お隣がパン屋さんということもあって、よく食事ができるお店と思われて入ってこられていました」
またサロンのもう一つの柱が、ビションフリーゼのトリミングなどの〝セミナー〟ですが、必要なトリミングテーブルが足りていないこと、大型ドライヤーがないことも悩みでした。
そして、予約の効率化や顧客管理の体制を整えていくことで、よりお客さんとのつながりを深めていきたい…といった希望も。
そこで朝倉さんが足柄上商工会の経営指導員さんとともに考えたのが、「店名入りオーニング」や「回転式や持ち運び可能なトリミングテーブル」「大型ドライヤー」等の設備、及び「POS」の導入を図る事業計画でした。

オーニングにサロン名と〝トリミングサロン〟の文字を。
近所の方々にも認知していただけるように。

オーニングとは、もともと日よけや雨よけの用途で店先に設置されるもの。そのオーニングを利用して、サロン名と〝トリミングサロン〟の文字を入れ周知を図りました。このことで、近隣への認知度が格段に上がったそうです。
「シャッターを下ろすと何のお店だかわからなくなってしまってたものが、オーニングが残っていることで、サロンの存在を近所の方々にも認知していただけるようになったんです。大きな宣伝効果になっていると思います」

セミナーの拠点として精度高く説明・指導したい本店舗には、「回転式のトリミングテーブル」と「スタンド式大型ドライヤー」を設置しました。
このテーブルは、高さの調整もできる自由度の高いもので、朝倉さんのカットする様子を受講者さんたちに見てもらう際、テーブルを回転させながら無駄なく細部を伝えることができるようになったと言います。
大型ドライヤーは、全身を乾かさなければいけない犬の負担軽減からも念頭にあったもの。
指導の際も両手を使えることによって、犬の安全を確保しつつ素早く乾かすことができ、スムーズに作業を進めやすくなったそう。
これらの恩恵はもちろんセミナー以外の時にもあずかることができ、技術者・犬ともにストレスのない効率よいトリミングにつながっています。

また、店舗外でセミナーをする際には「持ち運び用トリミングテーブル」を使用。
出張で行くペットサロンなどにはスタッフさんの分しか台がないところも多く、1～2名のところではテーブル数もそれだけ。
もう少し人数を集めてやりたいと思った時、また専門施設以外の場所で開催するときなど、テーブルは朝倉さんが持参していくしかありません。
その状況を改善させることができ、また本店舗での開催の時も、朝倉さんが回転式テーブルで見本のカットをして、受講者さんたちが持ち運び用テーブルで犬のウィッグのカットするなど、有効に活用しています。

そして、業務効率化と接客体制強化を目的に導入した「POS」は、キャッシュレス決済にも対応。
時代の波に取り残されることなく、お客さんのニーズに応えることにもつながっています。

熟練トリマーとして、ビションフリーゼの専門家として、夢は尽きない。

2022年の10月に開業した「CACHETTE」。
専門学校に勤めていた頃から、「いずれこういったサロンをやれれば」と思い描いていたという朝倉さん。
培った確かな技術と経験は、導入した設備による周知やセミナー力の強化、データ活用の後押しも受け、各地の〝ビションフリーゼ〟ファンに、近隣の愛犬家の方々に、人気と認知度を広げつつあります。
そんな朝倉さんが、これからもより進めていきたいと考えているのが、ビションフリーゼの普及活動。
「ここで1人でガンガントリミングをするというよりは、店でカットをしつつ、少人数でも来ていただいて、犬種についての座学やスライドを写したり、色々なところを回ってセミナーをしたり、今までやってきたノウハウをもっと外にも広めていきたいです」
まだまだ、ビションフリーゼについて学んだこと、伝えたいことがたくさんある、と話す朝倉さん。
熟練トリマーとして、ビションフリーゼの専門家として、その夢は尽きません。

《本記事は令和5年度伴走型小規模事業者支援推進事業により掲載しています。》

CACHETTE