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あしがら彩人記

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(有)簑島建築

『承前啓後』の信念と、『古民家蘇生』へのこだわり。〝職人〟という伝統を継承していくための事業変革。

〝古民家〟や〝伝統工法〟に特化した大井町の建築会社である「(有)簑島建築」。社長の簑島健太郎さんは、木工職人のお祖父さん、塗装職人のお父さんという職人一家の家系に生まれ育った、生粋の大工さんでもあります。その〝古民家〟に対するこだわりは深く、一般に言われているような『古民家再生』ではなく、『古民家蘇生』という言葉をつくり出し、それをポリシーとして掲げているほど。その心について、「ちゃんとしたものを再生させる、蘇生させるっていうことが、本当の古民家の利活用」と話します。
古民家に使われている木材は、自然のままの天然乾燥。今のようにスピーディに人工的に乾燥させていないので、密度もつまっていて強度も維持、湿度にも強いのだそう。「100年経った材料でも、手直しすれば、また100年使える」。そんなこだわりと技術は高く評価され、2021年施工の古民家(築300年)が、古民家情報誌の再築大賞で〈古民家再築部門 優秀賞〉を受賞するほどです。

「木造のよさ、建築技術の素晴らしさを後世に」。職人さんにも「こんなに面白いんだ、と伝えていかなきゃ」

「世間的にどんどん職人がいなくなってきている現実がある。後世に繋いでいくために、職人にも、こんなに面白いんだ、ってやりがいも伝えていかなきゃいけない」。そのために簑島さんは自身の〝事業を変えていく〟ことを決意、足柄上商工会とともにビジネスモデルの転換を計画しました。〝大きな古材も自在に部材化し、家だけでなく家具・建具などにも活用し、男女の隔てなく職人として取り組める事業展開〟を図ることに決めたのです。

計画を実行するために導入を図った機材は、木材を割る機械、端を丸くする機械、厚みを整える機械、表面の滑りをよくする機械など。古材の太い梁・桁など含めて全てが自社工場で製材可能になり、古民家利活用に向けて、より幅広い工程を自社で対応できるようになりました。

お客さん、職人さん、会社のこと、地球のこと、循環させること。「全てが、こうクルクル回ってるんだよね」

「8割9割昔の材料のままで〝新築〟ができる」のが、簑島さんには一番の楽しみ。(有)簑島建築が掲げる『古民家になっても愛され続ける家』の意味は2つ。1つは〝古民家になってしまった家を、愛され続ける家に生まれ変わらせる〟こと、1つは〝古くなっても、いつまでも変わらず愛され続ける家〟のこと。もう1つの『古民家蘇生』です。
その頭にあるのは、お客さん、職人さん、会社のことだけではありません。建物をつくっては壊すつくっては壊すを繰り返していた、かつての時代。「でも今はそうじゃないから」と〝カーボンニュートラル〟も意識しています。地球のこと、循環させること。「全てが、こうクルクル回ってるんだよね」
〝先人から受け継いだものがあるから今があり、そして未来を切り開いていくことが出来る〟。『承前啓後』の言葉を信念とする(有)簑島建築の、伝統を継承していくための事業変革。より理想の『古民家蘇生』の実現に向け、(有)簑島建築は新たな一歩を踏み出しました。

【策定した事業計画】
古材を再利用し、その魅力を活かした家具・建具製作事業への本格進出

令和4年度神奈川県ビジネスモデル転換事業費補助金

《本記事は令和4年度伴走型小規模事業者支援推進事業により掲載しています。》

(有)簑島建築

住所:〒258-0018
神奈川県足柄上郡大井町金手3-4
電話番号:0465-82-3547
創業:2000年
代表者:簑島健太郎さん
HP:https://minoshima-kenchiku.com/
営業時間:10:00~18:00
定休日:日曜